警備業を展開する株式会社山和では、創業当初から勤怠管理や給与計算のツールがバラバラに存在しており、転記によるミスやアナログ連絡に起因する属人化が大きな負担になっていました。隊員数が増えるほど管理工数が膨らむことは明らかで、このままでは業務運営が限界を迎える可能性があったといいます。将来を見据え、早期に仕組みを見直す必要性が高まっていました。
こうした状況を受け、同社は業務情報を一元化できる警備業界向け業務管理システム「警備フォース」の導入を決断しました。結果として、管理工数は大幅に削減され、経理業務の内製化を実現。特定の担当者に依存しない運営体制へと転換することができています。今回は、管理部の若本信一様に、導入までの背景や実際の効果についてお話を伺いました。
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<導入前の課題>
・ツールが分散し、転記ミスによる給与や請求の誤りが発生していた
・電話とメモによる管制業務で、連絡漏れや属人化が起きていた
・隊員数増加に伴い、管理コストが限界を迎える懸念があった
<導入の決め手>
・全ての情報を一元管理でき、コストパフォーマンスに優れていた
・隊員の利用率が高いLINEと連携し、スムーズな連絡が可能だった
・要望に対する誠実な対応と、機能改善のロードマップに信頼がおけた
<導入後の効果>
・管理工数が約50%削減され、外注していた経理業務の内製化に成功した
・履歴の可視化により属人化が解消し、チームでの管制対応が可能になった
・GPSと出発確認機能により、現場到着の遅延やミスを未然に防止できた
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ツールの分散とアナログ管理。将来の拡大を見据えた体制作りが急務だった
──警備フォース導入以前、御社ではどのように管理業務を運用していたのでしょうか。
当時は、シフト管理だけアプリを使い、給与計算や請求業務はエクセルとインターネット上の計算サイトを併用していました。それぞれのツールが独立していたため、データはすべて手入力で転記する必要があり、情報管理の負荷は常に大きい状況でした。
創業時の隊員数は14〜15名程度でしたが、それでも情報が分散していることで管理が煩雑になっていました。今後の売上目標を踏まえて隊員を50名規模まで増やす計画がある中で、20名を超えたあたりから作業量が一気に増え、「このままでは間違いなく限界が来る」と感じていました。早急にデータを一元管理できる体制を整える必要があったのです。
──ツールが分かれていたことで、具体的にどのような課題が起きていたのでしょうか?
最も大きかった課題は、情報が複数の場所に存在することで生じる不整合です。たとえば急な現場変更でシフトが差し替わった際、アプリ側は更新してもエクセルへの反映を失念してしまうケースがありました。その結果、請求金額や給与計算にズレが発生するリスクを常に抱えていました。
金銭に関わるミスはクライアントの信頼を損なうだけでなく、隊員にとっても「正しく給与が支払われるのか」「働いた分が反映されているのか」という非常にセンシティブな問題です。管理上の不具合が離職につながりかねないため、正確性の担保は欠かせません。実際にはダブルチェックを徹底したり、エクセルを改善して対応したりしていましたが、どうしても手間が大きく、根本的な解決にはいたっていませんでした。
──管制業務や現場との連絡面では、どのような課題があったのでしょうか?
管制業務は全体的にアナログで属人化していました。クライアントからの依頼は電話で受け、まずはノートに手書きで記録し、それをもとにLINEで隊員へ連絡するという流れです。手書きはどうしても漏れや転記ミスが起きやすく、私だけが情報を把握している状態になりがちでした。そのため、私が休むと業務が止まってしまうリスクが常にありました。さらに、現場到着の報告もLINEグループで行っていたため、通知が流れてしまい、誰が出発して誰がまだなのかをリアルタイムで把握するのが難しい状況でした。結果として、出発確認に時間がかかり、現場に隊員が到着していないことに気づくタイミングが遅れる可能性もあり、運用面での不安は大きかったです。
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圧倒的なコストメリットと「LINE連携」。現場へ定着しやすい点が導入の決め手に
──導入にあたり、他社サービスとの比較は行われましたか?
5社ほどを比較し、機能や費用感を一つずつ検討しました。大手システムの多くは初期費用だけで100万円前後、月額も10〜20万円ほどかかるケースが一般的で、事務員を1名雇用するのと大差ないコストでした。これでは投資に対するリターンが見合わないと判断し、導入の候補から外しました。
一方で、警備フォースは初期費用・ランニングコストともに非常にリーズナブルでした。導入当時、会社の経営状況はまだ赤字でしたが、隊員数に応じて費用が変動する料金体系が、まさに自社の事業フェーズに適したものでした。「新規でスタッフを雇用するよりも圧倒的に安く、かつ効率化が進む」という点が採用の決め手になりました。
──機能面ではどの部分に魅力を感じましたか?
展示会でブースに立ち寄った際、「LINEと連携できる」という点が最も印象に残りました。隊員の大半が普段からLINEを使い慣れており、メールや専用アプリよりも通知に気づきやすいと考えたためです。どれだけ高機能でも、現場の隊員に定着しなければ意味がありません。その点、警備フォースであれば、日常的に使うLINE上でほぼ完結するため、スムーズに現場へ浸透すると確信しました。
──正式な導入を決める際、後押しになった要素はありましたか?
プレ導入の期間に、「この会社なら安心して任せられる」と感じられたことが大きかったです。導入初期は、私から多くの改善要望を出していたのですが、担当の方が一つひとつ丁寧に整理し、優先順位や開発予定をわかりやすく示してくれました。「すぐに対応できない部分も、順次しっかり改善していく」というスタンスが伝わり、信頼感につながりました。その結果、本契約への移行を迷わず決断できました。
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管理工数が半減し、経理業務の内製化を実現。属人化の解消でチーム運営へ
──警備フォース導入後、業務効率はどの程度改善されましたか?
体感として、業務工数は以前の約半分まで削減できました。最も大きな変化は、削減できた時間を活用して経理業務を内製化できた点です。導入前は業務が逼迫していたため経理を外注していましたが、現在は私が社内で対応できるようになっています。外注費の削減だけでなく、数字をリアルタイムで把握できるようになったことも大きなメリットです。現在はまだエクセルと併用している部分もありますが、今後すべての業務がシステム内で完結できるようになれば、さらに空いたリソースを営業活動や現場対応など、売上に直結する業務へ充てていきたいと考えています。
──管制業務のフローや属人化の課題はどのように改善されましたか?
以前は「電話で聞いて、ノートに手書きし、LINEで連絡する」という3ステップが必須でしたが、現在はシステムに入力するだけで隊員へ自動通知されるため、作業負荷もミスも大幅に減りました。情報が可視化されたことで私一人に依存していた運用も解消され、チームで分担できる体制に変わっています。今では4名ほどの社員がシステムを確認し、通知履歴や対応状況を共有できています。私が不在でも他のメンバーが対応できるようになり、「担当者しかわからない」というリスクが解消されました。発注内容の入力漏れにもチーム全体で気づけるようになり、手配ミスの防止にもつながっています。
──現場管理のトラブル防止や、隊員の意識面の変化はいかがでしょうか。
GPS機能によって、隊員が正しい現場に到着しているかを地図で確認できるため、場所の間違いがあればすぐに指摘できるようになりました。特に効果が大きいのは「出発確認」です。これまでのLINEグループ連絡では誰が既読なのか分からず、確認に時間がかかっていましたが、今は個別通知で対応でき、ワンタップで出発報告が求められます。未出発の隊員がいれば迅速に連絡できるため、「実は寝坊していた」といったトラブルを未然に防げるようになりました。個別で確認されることによって、隊員側にも良い緊張感が生まれ、業務への意識が高まったと感じています。
──シフト作成や配置業務の連携面ではどのような変化がありましたか?
以前は、提出されたシフト数と確保している現場数を手作業で数え、突き合わせる必要がありましたが、現在はシステム上で連動しているため、この作業が不要になりました。隊員の希望休もシステム上でロックをかけたり、変更履歴を残すことで、「言った・言わない」のトラブルが大きく減っています。さらに、隊員の稼働状況や残業時間を履歴として把握できるため、「この現場は短時間で終わるからこの隊員に任せよう」といった、より最適な配置判断ができるようになりつつあります。
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丁寧な伴走支援でスムーズな定着を実現。「小規模な警備会社」にこそ導入してほしい
──隊員の方々への導入教育はどのように進められましたか?
導入当初は、スマートフォンの操作や「確認作業」が苦手な隊員も多く、マニュアルを渡すだけでは十分ではありませんでした。そこで、最初の数週間は私が横に付き添って一緒に操作したり、遠隔で電話をつなぎながらフォローするなど、かなり地道なアプローチで浸透を図りました。
プレ導入の2〜3ヶ月間は管理側も手探りでしたが、その期間で運用ルールを固められたことで、4月の本稼働時には採用時のオリエンテーションだけで説明が完結する仕組みに整備できました。現在は「スマートフォンとLINEを使用できること」を採用条件にしており、新しく入る隊員はスムーズに活用してくれています。
──導入支援や機能改善のスピードなど、サポート体制についてはどのように感じていますか?
サポートには非常に満足しています。導入初期は担当の方が頻繁にオンラインでつないでくださり、時には夜遅い時間帯でも電話で対応してくれるなど、きめ細かく伴走していただきました。
加えて、こちらの要望に対して「開発予定」や「優先順位」を明確に示してくれる点も安心材料でした。必要な機能は迅速に改善いただいたため、現在は社内から「使いにくい」という声がほぼ出ないほどです。ユーザーの声を真摯にプロダクトへ反映してくれる会社だと強く感じています。
──どのような企業に警備フォースをおすすめしたいと考えていますか?
私たちのような立ち上げ直後の企業や、小規模な警備会社にこそ特におすすめしたいです。
規模が大きくなると独自仕様が必要になるケースもありますが、小規模フェーズであれば、警備フォースのパッケージ機能だけで十分に運用できますし、コストパフォーマンスの高さも大きな魅力です。高額なシステム開発や複雑なカスタマイズに投資しづらい会社にとって、必要な機能が手頃な価格で揃う警備フォースは、最も理にかなった選択肢だと思います。
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写真・文・編集:事例のプロ
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